いよいよ、井乃頭蓄音団のNEWアルバムが発売となる。
タイトルは『MAHOROBA』。
「まほろば」は"素晴らしい場所"を意味する古語だ。
今作を作るにあたり、あらかじめコンセプトがはっきりあった。
わかりやすく一言でいえば、マンドリン、バンジョーを使ったフォーク、カントリーサウンド。
アメリカでは昨今"アメリカーナ"と呼ばれるムーヴメントがあるが、それの影響を結構受けた。
とはいえ、「ちょっとやってみました」というわけではない。
ここ数年、井乃頭蓄音団は徐々にアコースティック編成でのライブにも力を入れてきたのは世界中の人が知るところだ。
そもそも、2011年の東日本大震災での原発事故や、それに伴う電力の供給不足を経験し、「電気がなくなったらバンドってどうするのかな?」と暗闇の中で真剣に考えたのがきっかけだった。
過去70年くらいの大衆音楽の歴史に電気は必要不可欠だった。
より大勢の聴衆に聴かせるため電気の力を利用して、世界中に急速に広がっていったのが今のポップミュージックだ。
だが、それ以前にもっと長い音楽の歴史があった。
電気がなくても、人は音楽をやる生き物だ。
井乃頭蓄音団のアコースティック編成。
ただエレキギターをアコースティックギターに持ち替えるのではつまらない。
そこでヒントにしたのがブルーグラスだった。
Bill Monroe & the Bluegrass Boys - Blue Moon of Kentucky
ブルーグラスの父、ビル・モンロー。
編成はマンドリン、バンジョー、アコースティックギター、フィドル(ヴァイオリン)、ベース(コントラバス)。
私は、昔からなぜかこの音楽が大好きだった。
なぜかはまた別の機会に書くが、たまたま、私は高校の時部活でマンドリンを弾いていた。
そして、たまたまジョニーがバンジョーを持っていた。
そこで、フィドルがいなかったりベースがエレキだったりはするものの、とりあえず始めてみたのが井乃頭蓄音団のアコースティック編成だ。
あれから約3年。結構上達した。
まぁ、電気がどうこうと言ってみたものの、実際のライブではマイクも使うし、PAスピーカーから音が出ているので、その点で偉そうなことは言えないのだが、もし明日地球上がら電気が消えても、音響の良い小さめの場所ならライブができる。
それが、自分にとっては大事なことだった。
難点は、弾くのがすごく難しいということくらいだ。
実際、今回のレコーディングでも、指が痛くて痛くてずっと弱音を吐いていた。
あー指いてえ!
あー指いてえ!
そればっかり言っていたので、その声がどこかに録音されていないか心配なくらいだ。
肉体的にも精神的にも、自分に挑戦したアルバムだ。
チャレンジしてないアルバムなんて作りたくもないし、みんなも聴きたくないでしょ?
そんなアコースティックサウンドを軸にしながらも、エレキギターも活躍した。
お母さんごめんなさい!やっぱりエレキが好きなんだ!
別に電気が嫌いなわけじゃないからね。
アコースティック&エレクトリック。
これが"MAHOROBA"サウンドだ。
歌詞の面でも、今回はメンバー同士時間をかけて話し合った。
歌詞は自分の精神を映し出したものだったりするので、それについて言い合うのは結構心がすり減る作業だ。
これがいい方法なのかどうかはわからないが、今まであまりやって来なかったのでこれも今回挑戦してみた。
結果、今まで以上に等身大な内容となった。気がする。
「ペンもアップルもパイナップルも出てこない」という批判はあるかもしれないが、そこは甘んじて受けよう。
ジャケットも"等身大"をテーマに写真にした。
一部で「かっこよすぎる」という批判があるが、それは仕方ない。
等身大の我々がかっこいいということなのだから、甘んじて受け入れてほしい。
自分で思っているよりも足が短くてガッカリした点を除けば、良いジャケットになったと思う。
以上、私の視点から『MAHOROBA』について書き連ねてきたが、きっと他のメンバーからは違った見方が出てくると思うので、これが全てだと思わないように!
まぁ語ろうと思えばいくらでも語れるのだが、もう世の中に放たれるわけだから、あとはリスナーに委ねよう。
みんなの感想が聞きたい。
SNSに書いてくれたら検索可能な限り読むので、是非お願いします。
評論家みたいに書く必要なんてないからね。
等身大の言葉で。
そして最後にひとつだけ。
時間があるときでいいから、自分にとっての「まほろば」について考えてみてね。
レコ発!
2016年 12月 9日(金)
井乃頭蓄音団ワンマンツアー
"ワンマン道中いの栗毛2016"~渋谷編~
渋谷 CLUB QUATTRO
< 03-3477-8750 ・http://www.club-quattro.com/ >
時間 開場18:00 / 開演19:00
チケット 前売 ¥3,500(消費税込)※別途1ドリンク代(¥500)